暑い時期に相談が多い!┃犬の外耳炎について

2024.09.23

暑い時期に特に多く寄せられるご相談のひとつに、犬の外耳炎があります。犬が頻繁に耳を掻いたり、頭を振る仕草をしたりする場合、外耳炎の疑いが考えられます。

今回は犬の外耳炎について、その原因や症状、治療方法などをご紹介します。

■目次
1.外耳炎とは?
2.原因
3.症状
4.診断方法と治療方法
5.おうちでできるケアについて
6.まとめ

外耳炎とは?

外耳炎とは、耳の外側から鼓膜までの間にある「外耳道」という部分が炎症する病気です。この病気は人間や猫などさまざまな動物がかかる病気ですが、特に犬はかかりやすいとされています。

外耳炎を放置すると慢性化し、症状が進行することで、鼓膜や「中耳」「内耳」にまで炎症が広がる可能性があります。その結果、耳が聞こえにくくなり、首が傾く斜頸といった症状が現れることもあります。

原因

外耳炎を起こす直接的な原因は、以下が挙げられます。

・脂漏症
・アレルギー
・寄生虫(ミミヒゼンダニ)
・土や砂などの異物

それに加えて、細菌やマラセチア(酵母)の増殖、耳垢の過剰な蓄積、誤った耳のケアによる損傷といった耳の環境要因が加わることで、外耳炎が悪化し、より強い症状が現れることがあります。

<暑い時期に多い理由>

暑い時期は高温多湿の環境が、細菌やマラセチアの増殖に適しているため、外耳炎が発生しやすくなります。また、レジャーなどで外出する際、耳に土や砂などが入り込むことが多いため、外耳炎を引き起こす原因となります。

<好発犬種>

犬の外耳道は、垂直部と水平部がL字型になっているため、通気性が悪くなりやすい構造です。そのため、細菌やマラセチアが繁殖しやすく、外耳炎を発症しやすい環境が整ってしまいます。

特に、耳が垂れている犬や耳道に毛が生えている犬、耳道が狭い犬、アレルギー体質の犬、若い犬で発症しやすいことがわかっています。また、以下のような犬種に好発しやすいとされています。

・アメリカン・コッカー・スパニエル
・ラブラドール・レトリバー
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・フレンチ・ブルドック
・パグ
・チワワ
・トイプードル

症状

犬に以下の症状がみられたら、外耳炎のサインです。

・耳をしきりに掻く
・頭を振る
・耳垢が増える
・耳垢の色が黒っぽい
・耳から異臭がする

さらに、以下の症状がみられる場合は外耳炎が悪化している可能性があるため、注意が必要です。

・耳から出血する
・耳の内側が腫れている
・耳に触れられるのを異常に嫌がる
・斜頸(首がどちらか一方に傾く)

診断方法と治療方法

外耳炎の診断では、まず飼い主様から愛犬の症状について詳しく伺います。その後、耳鏡やビデオオトスコープといった専用の器具を使って耳の中を丁寧に観察し、耳垢を採取して検査することで、外耳炎の有無や原因を確認します。これらの検査を通じて、適切な治療方針が決まります。

外耳炎の治療は主に以下の方法で行なわれます。

<耳を清潔にする>

イヤークリーナーや生理食塩水などによる洗浄を行い、耳垢や異物などを除去します。

<感染と炎症を抑える>

抗菌剤や消炎剤などの点耳薬や必要に応じて内服薬を併用します。

これらの治療を根気強く続けることが重要です。また、アレルギーなどの基礎疾患が原因となっている場合は、外耳炎の治療と並行して、その基礎疾患に対する治療も行います。

また、外耳炎を繰り返し起こし、上記の治療だけでは改善しない場合は「耳道切除」という手術が必要になることもあります。

おうちでできるケアについて

外耳炎の予防には、日々のご自宅でのケアが非常に重要です。

飼い主様の中には、人間と同じ感覚で綿棒を使って耳掃除をされる方もいらっしゃいますが、前述したとおり、犬の外耳道はL字型であるため、綿棒を使うと耳垢を奥に押し込んでしまう恐れがあります。そのため、綿棒での掃除は避けましょう

正しいケアとしては、耳のみえる部分をガーゼや薄手のタオルで優しく拭き取る方法が推奨されます。トイレットペーパーのような溶けやすい素材は、耳に残りやすく、外耳炎の原因となることがあるため、避けましょう。さらに、イヤークリーナーを含ませて拭くとより効果的です。

耳の奥に関しては、飼い主様が無理にケアをする必要はありません。定期的に動物病院でチェックしてもらい、必要に応じた専門的なケアを受けることが大切です。

まとめ

外耳炎は、一度発症すると再発しやすい病気です。そのため、症状が軽いうちに適切な治療を行うことが、慢性化を防ぐために非常に大切です。もし、愛犬が普段より耳を気にするような仕草をみせた場合は、早めに動物病院で診察を受けることを推奨します。耳のケア方法についても、獣医師に相談して正しい方法を確認しましょう。

岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院

当院の診療案内はこちらから
初めての方はこちらから
お電話でのお問い合わせはこちら:086-262-1837

 

この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

岡山市南区の動物病院 永原動物病院 Nagahara Animal Hospital
診療時間表
  • 土曜のみ9:00~13:00の診療
  • 水曜と土曜の午後・日曜・祝日・GW・お盆・年始年末
702-8035 岡山県岡山市南区福浜町1-27
  • 各種お支払い可能
  • 現金/Paypay/各種クレジット
  • 各種お支払い可能 現金/Paypay/各種クレジット
トップへ戻る