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フィラリア症とは?|予防の重要性について
2024.06.05犬
フィラリア症は、犬を家族に持つ方たちにとってよく耳にすることのある馴染み深い病気です。春になると、多くの飼い主様が予防薬の投与を始めますが、予防の必要性や感染した場合の対処法について疑問を持つこともあるのではないでしょうか。
フィラリア症とは、糸状の虫が心臓や肺動脈に寄生することによって引き起こされる病気です。糸状の虫が寄生することにより血液の流れが悪くなり、心臓以外の他の肺や肝臓、腎臓、血管などに悪影響を及ぼします。
今回はフィラリア症について、原因や治療方法、予防など詳しく解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法と治療方法
4.予防法やご家庭での注意点
5.まとめ
原因
フィラリア症は、蚊によって感染する病気です。
主に糸状の寄生虫であるフィラリアが、心臓や肺動脈に寄生することにより発生します。
この病気は、フィラリアに感染した犬から蚊が血を吸い取ることで幼虫を摂取し、その後、別の犬の血を吸う際にその幼虫を犬の体内に移すことで感染します。
そして体内で幼虫が成虫に成長すると、内服薬では治療が困難になるため、予防が非常に重要であり、幼虫が体内で成長する前の段階で予防薬を投与することが効果的です。
症状
犬がフィラリアに感染すると幼虫は徐々に成長しながら、最終的には肺動脈に寄生します。大きさは約30㎝に達することもあります。
フィラリア感染による症状は、寄生虫の数や病気の進行具合によって異なり、多くの場合、初期段階では症状がほとんど現れません。
しかし、幼虫が成虫へと成長する過程で、血液循環や呼吸器に影響が出始めることがあり、軽度の咳や運動による疲れ、血尿などの症状が見られることがあります。
そして、フィラリアが肺動脈から心臓へと移動した場合、深刻な三尖弁逆流を引き起こし、循環不全を招くと大静脈症候群という深刻な状態に進行します。
この段階では、運動に対する耐性の低下、低血圧、腹水が溜まる、失神するなどの重症状が現れ、最悪の場合、急死するリスクも伴います。
診断方法と治療方法
フィラリアの診断には、主に血液を使用した2種類の方法があります。
1つ目の方法は顕微鏡を使用して血液中のフィラリア幼虫を直接確認することです。
2つ目の方法としては、血液抗原検査によりフィラリアを検出する検査です。
フィラリア症の治療は難しく、一度感染すると内科的な方法で、体内からフィラリアを完全に除去することは非常に難しいとされています。
また、症状が明らかでフィラリアの寄生が大量に見られる場合は、フィラリアを物理的に除去する「吊り出し法」と呼ばれる手術が選択されることもあります。
しかし、症状がまだ出ていない早期の段階では、駆虫薬を長期間服用し、徐々にフィラリアを減少させる治療方法が一般的に行われます。
予防法やご家庭での注意点
フィラリア感染を防ぐためには予防が最も効果的であり、駆虫薬を使用することで予防が可能です。予防薬の投与期間は地域により異なるため、かかりつけの動物病院が推奨する期間に従って定期的に薬を投与することが重要です。
特に、予防薬を初めて投与する際には、フィラリアに未感染であることを動物病院で確認してから始める必要があります。
これは、すでに感染している場合、駆除薬によって血中のフィラリア幼虫が一度に死滅することで、ショック状態になるリスクがあるためです。そのため、このようなリスクを避けるためにも、予防薬を始める前には、動物病院で検査を受けることをお勧めします。これにより、リスクを避けることができます。
まとめ
フィラリア症は適切な予防策を講じることで防ぐことができる病気です。予防薬の正しい使用と定期的な健康診断を行うことで、愛犬をこの病気から守ることが可能です。フィラリア症への注意を払い、愛犬の健康維持に努めましょう。
フィラリア症に関する疑問やご不安があれば、遠慮なくご相談ください。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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