コラム
COLUMN
犬や猫の乳腺腫瘍|避妊手術で予防ができる病気
2024.01.09犬・猫
乳腺腫瘍は、メスの犬や猫にとって、身近な病気の一つといえます。特に避妊手術を受けていない中高齢の犬や猫に発症することが一般的で、若齢時に手術をすることで発症のリスクを下げられることが分かっています。
今回は、犬や猫の乳腺腫瘍について解説し、その予防方法である避妊手術についてご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
乳腺腫瘍の主な原因は、遺伝的要素と性ホルモン(エストロゲン)が関係しており、避妊手術を受けていないメス犬やメス猫に多く発生する傾向があります。
よく発生する年齢は10〜11歳で、4歳以下での発生はまれですが、5歳を超えたら注意が必要です。
症状
乳腺にしこりができるのが一般的な症状です。ほとんどの場合は、痛みなどの症状はありませんが、腫瘍が大きくなって表面が自壊すると出血や感染が起こり、痛みや違和感が生じることがあります。
犬では良性と悪性の割合が半々ですが、猫では8割以上が悪性といわれています。
悪性の場合は乳腺組織にとどまらず、リンパ節や肺に転移して治療が困難となる恐ろしい病気です。
診断方法
触診により乳腺にしこりが見つかった場合、しこりに針を指して細胞を採取し、細胞の形態を観察する検査(細胞診)を行うことが一般的です。またレントゲン検査や超音波検査にて、転移病変の有無を確認します。
手術により病変を切り取った場合、病理組織検査を行い、腫瘍の種類や悪性度を評価します。
治療方法
乳腺腫瘍の治療は、主に外科手術が中心です。悪性度が高い場合や、転移が認められる場合は、抗がん剤を用いた化学療法を行うこともあります。
乳腺腫瘍の手術を行う場合、当院では避妊手術も同時に検討します。ただし、高齢の場合は避妊手術を行っても再発を完全に予防できるわけではないですが、避妊手術を行うことで、子宮や卵巣の病気のリスクを下げられます。
予防法やご家庭での注意点
若齢期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍のリスクが大幅に減少することが知られています。
特に初回の発情起こる前(生後半年ほど)で手術を行うのが、最も効果的です。
当院では、若齢の子が来院された場合、避妊手術を行うかのご相談をしています。避妊手術には、病気の予防だけでなく、ペットのストレスが減る、発情出血を心配する必要がなくなるなど、さまざまなメリットがあります。
手術に際しては、メリット・デメリットをお伝えし、飼い主様とご家族に合ったご提案をさせていただきます。
まとめ
犬や猫の乳腺腫瘍は、早期発見・早期治療が鍵となります。また、避妊手術は乳腺腫瘍を予防する効果的な方法の一つです。
当院では、ペットと飼い主様のライフスタイルに合わせて、最適な治療法・予防法をご提案します。避妊手術でお悩みの方や、乳腺腫瘍でお困りの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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