獣医が教える!子犬・子猫の病気リスクと予防法 |病気のサインについても解説

2024.12.20犬・猫

お家に迎え入れた子犬や子猫はとても愛らしいですよね。しかし、子犬や子猫はまだ体が小さく、免疫力も十分ではないため、かかりやすい病気がいくつかあります。そのため、お迎えする前に、子犬や子猫に多い病気について知識を持っておくと、より安心してお世話ができるでしょう。

今回は子犬や子猫に多く見られる病気について、詳しく解説します。

■目次
1.子犬期・子猫期によく見られる症状とは?
2.子犬期にかかりやすい病気やトラブル
3.子猫期にかかりやすい病気やトラブル
4.予防法やご家庭での注意点
5.まとめ

子犬期・子猫期によく見られる症状とは?

子犬や子猫によく見られる症状として、消化器の不調や感染症が挙げられます。これらは、お迎え後の2週間ほどの間に、環境の変化によるストレスや免疫力の低下により、発症しやすくなることがあります。そのほかによく見られる症状は、以下が挙げられます。

<嘔吐、下痢、便秘>

慣れない環境や食事の変化、ウイルス感染、内部寄生虫、異物の誤食などが考えられます。

犬や猫の下痢の症状と原因、治療についてはこちらから

<血便>

パルボウイルス感染症、異物の誤食などが考えられます。いずれも重篤な病気であるため、早めに動物病院を受診しましょう。

<目ヤニ、目の充血、くしゃみ>

ウイルス感染が原因で引き起こされることが多いです。

<咳>

ケンネルコフなどの細菌・ウイルス感染が考えられます。肺炎に移行する可能性もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

<脱毛、皮膚炎>

皮膚糸状菌症、ノミなどの外部寄生虫による皮膚炎、環境の変化によるストレスなどが考えられます。

子犬期にかかりやすい病気やトラブル

<誤飲・誤食>

子犬は好奇心旺盛で、さまざまなものに興味を示し、つい口に入れてしまうことが多いため、誤食のリスクが高い傾向にあります。飲み込んだものによっては緊急性が高くなることがあるため、早急に動物病院を受診しましょう。誤飲したものを吐かせるべきか、自然に排出を待つか、または手術が必要かどうかは、飲み込んだものや動物の状態によって判断されます。

<ケンネルコフ>

ケンネルコフはウイルスや細菌の感染によって気管支炎を引き起こす病気で、生後半年までの子犬に多く見られます。特徴的な症状として咳がありますが犬の咳はわかりづらく、吐きたがっているように見えることもあります。さらに二次感染が起こると、鼻水や目やに、発熱といった症状が現れ、重症化すると肺炎に進行することもあります。

また、治療は対症療法や抗生物質の投与が中心となります。

<犬パルボウイルス感染状態>

ウイルス感染により嘔吐や下痢を引き起こす病気で、致死率が高いのが特徴です。有効な治療法がないため、予防が何よりも重要です。また、ワクチン接種を必ず行い、ワクチン接種が完了する前は外に出歩かせないように徹底しましょう。

<犬アデノウイルス感染症>

伝染性肝炎と伝染性喉頭気管支炎の2種類があり、どちらもワクチンで予防が可能です。いずれも有効な治療法はないため、予防が最も重要です。

伝染性肝炎:肝炎を起こし、子犬が発症すると亡くなる確率の高い病気です。
伝染性喉頭気管支炎:軽症の場合が多く、咳などの症状が見られます。

<犬コロナウイルス感染症>

軽度の下痢や嘔吐などの症状が見られることがありますが、パルボウイルスと同時に感染すると重症化する恐れがあります。また、有効な治療法はなく、ワクチンで予防が可能です。

<内部寄生虫感染症>

ジアルジアや回虫、条虫など、さまざまな種類の寄生虫が存在します。一度の検査では発見できないことも多いため、複数回の検査が必要になることがあります。診断は便検査、血液検査、便の遺伝子検査などを行います。治療には駆除薬を使用しますが、寄生虫の種類によっては完治まで時間がかかる場合もあります。

<外部寄生虫感染症>

ノミやマダニなどの外部寄生虫が原因で、皮膚に異常が現れることがあります。これらは駆除薬を使用して治療が可能です。

子猫期にかかりやすい病気やトラブル

<誤飲・誤食>

子犬と同様に子猫は好奇心旺盛で、さまざまなものに興味を示し、つい口に入れてしまうことが多いため、誤食のリスクが高い傾向にあります。飲み込んだものによっては緊急性が高くなることがあるため、早急に動物病院を受診しましょう。特に猫に多いヒモ状の異物を飲み込むケースは非常に緊急性が高いため、注意が必要です。

<ヘルペスウイルス感染症>

くしゃみや鼻水、結膜炎などの症状が見られ、場合によっては重症化して肺炎になることもあります。対症療法で改善することが多いですが、ウイルスを完全に体内から排除することは難しく、感染した子猫は生涯にわたり、体調が悪くなったときに再発することがあります。そのため、他の子猫に感染しないよう、感染している猫とは接触を避けることが重要です。

<猫カリシウイルス感染症>

くしゃみや鼻水、口内炎、結膜炎などの症状が見られます。治療は対症療法を行いますが、ワクチンで予防することも可能です。

<猫パルボウイルス感染状態>

ウイルス感染により嘔吐や下痢を引き起こします。また、致死率の高い病気であり、有効な治療法がないため、予防が非常に重要です。そのため、ワクチン接種をしっかり行い、ワクチンを打つ前は他の猫との接触を避けることを徹底しましょう。

<猫コロナウイルス感染症>

通常は無症状ですが、軽度の下痢が見られることもあります。また、原因は解明されていないものの、猫の体内でウイルスが強毒化し、猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症することがあります。FIPを発症すると、症状が急激に進行し、命に関わることが多いため、迅速な対応が必要です。また、予防できるワクチンも存在しないため、早期発見と症状の管理が非常に重要です。

<内部寄生虫感染症・外部寄生虫感染症>

子犬と同様ですが、子猫にもジアルジアや回虫、条虫など、さまざまな種類の寄生虫が存在します。一度の検査では発見できないことも多いため、複数回の検査が必要になることがあります。診断は、便検査、血液検査、便の遺伝子検査などを行います。治療には駆除薬を使用しますが、寄生虫の種類によっては完治まで時間がかかる場合もあります。

予防法やご家庭での注意点

予防できる病気とできない病気がありますが、ご家庭では以下のことをしっかりと実践し、愛犬や愛猫の健康を守りましょう。

・ワクチンプログラムを完了させること
・若齢期には他の犬や猫との接触を避けること
・免疫が弱い時期には、気になる症状があればすぐに動物病院を受診すること

まとめ

子犬や子猫は免疫力が弱く、さまざまな疾患が重症化しやすいです。そのため、飼い主様がしっかりと注意を払い、健康に配慮した環境を整えてあげることが大切です。

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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