コラム
COLUMN
猫の糖尿病について|日頃の体重管理が大切
2024.03.06猫
糖尿病とは、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値を下げる機能が損なわれ、高血糖が持続する病気です。この状態を放置すると昏睡状態から死に至るケースもあるため、早期発見して適切な治療を行うことが重要です。
今回は、猫の糖尿病の原因や特徴、ご家庭での注意点などについて詳しく解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.特徴
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法とご家庭での注意点
7.まとめ
原因
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの作用不足による疾患です。この不足には、Ⅰ型とⅡ型の2つの主要な原因があります。遺伝や膵臓自体の疾患などでインスリンの分泌自体が減ってしまうⅠ型と、インスリン自体は分泌されるものの、肥満、ストレスなどの環境要因によってインスリンが効きにくくなるⅡ型に分かれます。
症状
多飲多尿、多食、食べているのに体重が減るなどの症状がみられますが、この段階では、飼い主様が気づかないことも多くあります。
そのまま進行してしまうと、視力を損なう白内障や、ケトアシドーシスと呼ばれる全身症状に至り、命を脅かす状態に陥ることもあります。
特徴
猫の糖尿病のほとんどは主にⅡ型です。猫は興奮するだけで血糖値が上昇したり、肥満になりやすい体質だったりと体質的に糖尿病になりやすい要素が多くあります。
診断方法
主に症状と尿検査、血液検査に基づいて行われます。糖尿病は、発症すると生涯にわたって継続的な食事や体重管理が必要になります。また、症状によってはインスリンを投与する場合もあります。
治療方法
血糖値のコントロールと合併症の発症予防として、インスリンなどの投与、食事療養、運動などを組み合わせます。
インスリンは少なすぎると効き目がなく、多すぎると低血糖を引き起こすため、血糖値を確認しながら適切な量を調整する必要があります。また、飼い主様がインスリンの注射を自宅で行うだけでなく、食事管理や飲水量、尿量の変化を観察するなど、日常的な体重管理にも注意を払うことが重要です。
また、食事管理では、最初に指定された内容を続けていくのではなく、猫の状態(食欲や体重の変化など)を定期的に検査しながらその時に適した食事内容に変更していくことが大切です。
予防法とご家庭での注意点
糖尿病を予防するためには、バランスの良い食事や適切な運動量、ストレスのない生活が効果的です。必ずしも肥満が糖尿病の原因となるわけではありませんが、愛猫の体重を日常的に管理することも大切です。
また、定期的な健康診断を行うことで早期発見に繋がることもあります。
まとめ
糖尿病は、一度かかると生涯つきあう必要のある病気です。日頃から愛猫の様子を注意深く観察し、体重が減少したり、水を飲む量が増えたりといった糖尿病の特徴的な症状に気付いた際は、すぐに動物病院を受診しましょう。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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