コラム
COLUMN
犬と猫の尿検査と自宅でできる採尿方法について
2023.10.04犬・猫
尿は腎臓で作られ、尿管、膀胱、尿道を通り排尿されます。尿検査は、その過程の臓器や全身の病気を見つけることができるため非常に重要な検査です。
しかし、ご自宅での採尿が難しくて上手くできず、お困りの飼い主様も多いかと思います。
そこで今回は、尿検査について詳しく解説するとともに、ご自宅でできる採尿方法についてもお伝えします。
尿検査でわかること
尿検査を行うことで、腎臓や尿路の異常、糖尿病、膀胱炎など多くの疾患の早期発見が可能となります。早期に異常を把握することで、適切な治療ができ、愛犬や愛猫の生活の質の向上や予後の改善が期待できます。
尿検査では、一般性状、化学的性状、尿沈渣の項目を見ていきます。
下記では、それぞれの項目で見られるポイントを挙げています。
一般性状
・色調
通常の尿は淡黄色~黄色です。血や赤色の色素が混ざると、赤色や赤褐色になります。
例えば肝臓が悪くビリルビンが混ざると、橙色になり、腎臓が悪く尿が薄いと、透明に近い色になります。
・臭気
感染があったり、濃い尿だと匂いを強く感じます。
・透明度
通常は透明です。尿中に細菌や炎症細胞、結晶が混ざると混濁します。
・尿比重(尿の濃度)
通常、尿は腎臓で濃縮されます。尿が薄いと、腎臓病や水を大量に飲む病気(クッシング症候群や糖尿病など)の可能性があります。
化学的性状
・蛋白(たんぱく)
蛋白が検出される場合は、腎臓機能の低下を疑います。
・ビリルビン
ビリルビンが尿中に検出された場合、肝臓や胆道系の異常の可能性があります。犬では、健康でもわずかに検出される場合があります。
・ケトン体
ケトン体が検出される場合、糖尿病や飢餓、絶食を疑います。
・グルコース
糖尿病でみられることが一般的です。腎機能が低下した場合にも検出されることがあります。
・潜血
潜血が検出される場合、腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかで出血があることを疑います。
・尿pH
尿がアルカリ性か酸性かを調べます。
膀胱炎があるとアルカリ性に傾くことが多く、また尿結石は尿pHが治療や予防の目安になるので、コントロールができているかのチェックに活用します。
尿沈渣
尿を遠心分離器にかけ、沈査の部分を顕微鏡で観察し、細菌、白血球、赤血球、細胞、結晶などを確認します。
これらの成分が検出される場合は、感染や炎症、結石が膀胱や腎臓などにあることを疑います。
自宅でできる犬と猫の採尿方法
犬や猫の採尿方法は以下の2つが挙げられます。
①排尿時に採取する方法
1、排尿するときに新しい紙コップなどの清潔な容器で受け止めます。2、蓋が閉まる容器に移し替えて、動物病院へ持参します。
②トイレで採尿する方法
1、ペットが決まったトイレの場所で排尿する場合、その場所に裏返したペットシーツなどを敷きます。猫の場合は、トイレをきれいにし、砂は入れずに設置します。
2、排尿した後に、蓋が閉まる容器に移し替えて、動物病院に持参します。
採尿の際の注意点
採尿の際は、以下に注意するとより正確に検査を実施できます。
・尿は液体の状態で持っていく
・きれいな場所で排尿した尿を持っていく
・尿は最低2ml程度できれば5~10ml程度持っていく
検査項目によっては、0.5ml程度でも検査できる場合がありますので、どれくらいの量を採取すればよいのか不明な場合は、動物病院に相談してください。また、どうしても自宅で取れない場合は、動物病院で採取することができますので、無理をせず、ご連絡ください。
まとめ
尿検査を行うことで様々な病気を見つけることができます。頻尿や尿の色の変化などがある場合はもちろんのこと、異変が見られない場合でも1年に1回は定期検査をすることをおすすめします。
病気の早期発見、早期治療を心がけ、愛犬や愛猫の健康を守っていきましょう。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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