犬や猫のノミ・マダニ・フィラリア予防の重要性について

2023.08.31犬・猫

ノミやマダニは、犬や猫に寄生すると皮膚炎や痒みに加えて様々な病原体を媒介します。
また蚊に刺されることで感染するフィラリアは、血管や心臓に寄生するため重症化すると生命を脅かす危険もあります

今回は、なぜノミ・マダニ、フィラリア予防が犬・猫にとって重要なのかや、感染がもたらす疾患、予防方法についてご紹介します。

犬・猫のノミ・マダニ、フィラリア予防の重要性

ノミ、マダニ、フィラリアといった寄生虫は、犬や猫に寄生することで、様々な健康上の問題を引き起こします。
ノミやマダニの場合は寄生されると皮膚の痒みや炎症を引き起こし、愛犬や愛猫のQOL(生活の質)を下げてしまいます

加えてノミ、マダニ、フィラリアは様々な感染症を媒介することで知られています。
以前は予防薬が普及しておらず、これらの寄生虫がもたらす病気を十分防ぎきれないことで、症状が重症化してしまい、命を落とすケースも多く見られました。
しかし、現在では予防医学の進歩により、予防薬を投与することで寄生虫がもたらす感染症を未然に防ぎ、重症化を抑えることができるようになりました。

また、これらの寄生虫が媒介する感染症の中には人獣共通感染症と呼ばれる、人間に感染する危険性もある感染症も含まれます
人に感染すると最悪の場合、命を落とす可能性もあるため、飼い主様はしっかりとノミ、マダニ、フィラリアの予防の重症性を理解して予防を行っていきましょう。

ノミ・マダニ、フィラリア感染がもたらす疾患について

ノミ・マダニ、フィラリア感染によって引き起こされる疾患は様々です。
以下に代表的な疾患をいくつか紹介します。

<ノミによって発症する病気>
ノミアレルギー皮膚炎
犬や猫がノミの唾液に対してアレルギー反応を起こしたときに発生する皮膚病で、皮膚の激しい痒み炎症湿疹、ただれなどが症状として見られます。

一度発症するとわずかなノミの寄生で重篤な症状が引き起こされることも多く、完治には時間がかかる場合もあります。

瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)
犬や猫が毛づくろいの際に瓜実条虫という寄生虫を持ったノミを飲み込むことで感染します。
瓜実条虫は一般的にサナダムシという名前で知られ、大量に寄生されることで腸炎を起こすことがあります

<マダニによって発症する病>
バベシア症
バベシアに感染しているマダニに吸血された際に、その唾液と一緒にバベシアという原虫が犬の体内(血管内)に侵入して感染します。

発熱
貧血黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる)血尿
などの症状が現れ重症化すると亡くなってしまうこともあります。

ライム病
マダニが媒介する人獣共通感染症です。
発熱倦怠感関節痛などの症状が現れます。

重症例では、神経症状を引き起こすことも報告されています。

SFTS(重症熱性血小板減少症)
マダニが媒介する人獣共通感染症です。
発熱倦怠感血小板減少黄疸などの症状を引き起こし、重症化すると亡くなってしまうことがあります。

<フィラリアによって発症する病気>
フィラリア症
蚊が媒介する病気で、心臓や肺の血管に寄生する寄生虫が原因です。
症状は息切れなどで、治療は難しく重症化すると高確率で亡くなってしまいます

ノミ・マダニ、フィラリア感染によって引き起こされる疾患は、大切な家族の健康にとって深刻な問題となるので、しっかりと予防することが重要です。

犬猫のノミ・マダニ・フィラリア感染の予防方法について 

ノミ・マダニ、フィラリア感染を防ぐためには、以下のような予防方法があります。
それぞれ詳しく解説していきます。

・ノミ・マダニ予防
1ヶ月に1回の駆虫薬によって予防を行います。
内服タイプ、滴下タイプなどの駆虫薬があるため、愛犬・愛猫が気に入るものを与えてあげると良いでしょう。

また、生活環境の衛生管理も重要です。
家屋内の掃除やペット用品の洗浄はこまめに行ってあげてください。

・フィラリア予防
当院では、蚊が発生する5~12月までの月1回内服またはスポットタイプを塗布することをで予防を行います
※フィラリア予防薬をご希望の場合は体重測定と血液検査が必要です。

蚊の活動が活発な季節には、犬が蚊に刺されないように対策してあげることが大切ですので、生活環境もしっかりとチェックしてあげてください。

ノミ・マダニ・フィラリアの予防薬の投与や駆虫剤は、ペットの体重や種類、年齢などを考慮して処方しています。
飼い主様は、自分の判断で薬を辞めたり、他の子の予防薬を飲ませたりせず、獣医師の指示に従って投薬をするようにしてください。

まとめ

ノミ・マダニ、フィラリア感染による犬猫の健康被害は深刻な問題であり、適切な予防が必要です。
毎月1回の予防薬の投与で感染症にかかるリスクを軽減できるので、飼い主様は、必ず予防を行ってあげるようにしましょう。

また、大切な家族が外で遊ぶ際には、できるだけ野生の動物や草木に触れさせないようにして、感染のリスクを減らしてあげることも大切です。

犬猫との暮らしをより豊かにするためにも、ノミ・マダニ・フィラリア予防に積極的に取り組んでいきましょう。

岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院

 

この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

岡山市南区の動物病院 永原動物病院 Nagahara Animal Hospital
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