愛猫の咳やくしゃみが気になる|猫風邪の正しい知識と対策

2025.03.25

最近、愛猫が「くしゃみをすることが増えた」「鼻水や目やにが気になる」と感じることはありませんか?猫も人間と同じように風邪を引くことがあります。これを「猫風邪」と呼び、主にウイルス感染が原因で発症します。

風邪というと軽い病気のように思えるかもしれませんが、猫風邪は慢性化しやすく、一度悪化すると完治が難しくなることがあります。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。また、ワクチン接種によって予防できる病気でもあるため、日頃の健康管理も欠かせません。

特に多頭飼いの環境では感染が広がりやすく、免疫力の低い子猫や高齢の猫は重症化するリスクが高いため、注意が必要です。

今回は猫風邪について、原因や症状、治療方法、そして予防策などを詳しくご紹介します。

■目次
1.猫風邪の基礎知識
2.主な症状と早期発見のポイント
3.診断・検査
4.治療方法
5.予防と日常のケア
6.慢性化した場合の生活管理
7.まとめ

猫風邪の基礎知識

猫風邪とは、主に上部気道に炎症を引き起こすウイルス感染症のことを指します。くしゃみや鼻水、目やにといった症状が現れ、重症化すると肺炎などの深刻な病気へと進行することがあります。

<原因となるウイルスや細菌>

猫風邪の主な原因は、「猫カリシウイルス(FCV)」や「猫ヘルペスウイルス(FHV-1)」です。猫カリシウイルスは口内炎や舌の潰瘍を引き起こし、猫ヘルペスウイルスは目やにや結膜炎の症状を伴うことが多いです。一度感染すると、ウイルスが体内に残り、ストレスや免疫低下時に再発するケースもあります。また、細菌感染が加わると症状が悪化し、慢性的な鼻炎や結膜炎へ進行することもあります。

<猫風邪にかかりやすい猫の特徴>

特に子猫や高齢の猫は免疫力が弱く、感染リスクが高いです。また、多頭飼いの環境ではウイルスが広がりやすく、一匹が感染すると他の猫にも移る可能性が高くなります。さらに、持病を持つ猫は体力や免疫力が低下しやすく、感染後に重症化しやすいため注意が必要です。

主な症状と早期発見のポイント

猫風邪の症状には以下のようなものがあります。

・くしゃみ(頻繁にする場合は要注意)
・鼻水(透明から黄緑色に変わると悪化のサイン)
・目やに(涙が増え、目をしょぼしょぼさせることが多い)
・食欲低下(鼻づまりにより匂いを感じにくくなる)
・発熱(触ると耳や体が熱く感じることがある)

これらは飼い主様でも気づきやすい症状ですが、特にくしゃみが頻繁に出たり、鼻水が黄色や緑色に変わったりした場合は要注意です。また、目やには結膜炎を伴うことがあり、放置すると視力に影響を及ぼすこともあります。

症状が進行すると、猫は鼻づまりによって匂いを感じにくくなり、食欲が低下することがあります。さらに、前述したとおり、ウイルス感染が肺に広がると肺炎を引き起こし、ぐったりしたり、口を開けて呼吸をしたりするようになります。このような状態は非常に危険であるため、早急な治療が必要です。

診断・検査

動物病院では、まず問診を行い、くしゃみや鼻水の頻度、ワクチン接種歴、多頭飼いの有無などを確認します。その後、視診・聴診によって鼻や目の状態をチェックし、呼吸音を聞いて肺炎の可能性を判断します。

必要に応じて血液検査、X線検査、ウイルス検査を実施し、炎症の有無や猫カリシウイルス・猫ヘルペスウイルスの感染を特定します。猫風邪と似た症状を示すアレルギーや他の病気と区別するためにも、適切な検査が重要です。

治療方法

猫風邪の治療法は、主に以下の2つに分かれます。

<ネブライザー治療>

猫風邪の治療法の一つに「ネブライザー治療」があります。これは薬剤を霧状にして吸入させる方法で、鼻や気管支の奥まで直接薬を届けることができます。1日2~3回、15~30分程度行うことで、鼻づまりや呼吸困難を改善できます。内服薬よりも即効性があり、副作用が少ない点がメリットです。

<インターフェロン療法>

もう一つの有効な治療法が「インターフェロン療法」です。これはウイルスの増殖を抑え、免疫力を高める治療法で、「インターキャット」と呼ばれる製剤を使用します。インターフェロンを点鼻や注射で投与し、ウイルス感染による症状を和らげる効果が期待できます。

<その他の治療>

症状に応じて点鼻薬や点眼薬、抗生物質が処方されることもあります。慢性化すると完治が難しくなるため、症状が軽いうちに治療を開始することが重要です。

予防と日常のケア

<ワクチン接種>

猫風邪は三種以上の混合ワクチンで予防できます。子猫は6~8週齢で初回接種し、その後は2~4週間隔で16週齢以降まで接種し、次いで生後6カ月または12カ月で追加接種を行うことが推奨されています。成猫でも1年に1回の追加接種を受けることで、重症化を防ぐことができます。

<環境管理のポイント>

・寝床やトイレを清潔に保つ(ストレス軽減にもつながる)
・室内の温度・湿度を管理(乾燥はウイルスの増殖を助長)
・多頭飼いの場合、感染猫は隔離(ウイルスの拡大を防ぐ)

<日常的な健康管理>

・ストレスを減らす(免疫力を維持するために重要)
・バランスの取れた食事と適度な運動

慢性化した場合の生活管理

猫風邪が慢性化すると、くしゃみや鼻水などの症状が長期間続くことがあります。このような場合は、ご家庭でのサポートがとても重要です。一度は治ったと思っても再発するケースもあるため、自己判断で治療を中断しないように注意しましょう。

また、症状が悪化したり、呼吸が苦しそうな様子が見られたりした場合は、すぐに獣医師に相談することが大切です。

まとめ

猫風邪は慢性化しやすく、完治が難しい病気です。そのため、ワクチン接種による予防と早期発見・早期治療がカギとなります。くしゃみや鼻水などの症状に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。

愛猫が健康で快適に過ごせるよう、日頃のケアを大切にしてください。もし気になる症状があれば、お気軽に当院までご相談ください。

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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