コラム
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愛犬・愛猫の皮膚を守る! |犬と猫の膿皮症の基礎知識と対策法について
2024.06.05犬・猫
犬や猫も人間と同じように、さまざまな病気に罹ります。その中のひとつが膿皮症で、比較的よくみられる細菌性の皮膚炎です。この病気は犬によくみられ、猫では稀に発症します。皮膚の病気は、気づきやすいですが、犬や猫は自分の痒みや痛みを言葉で伝えられないため、飼い主様は普段から愛犬や愛猫の様子をしっかりと観察し、適切に対処する必要があります。
今回は、犬と猫の膿皮症について原因や治療方法、予防など詳しく解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
皮膚への細菌感染が、膿皮症になる原因です。
膿皮症を引き起こす細菌はさまざまですが、その中でも特に「ブドウ球菌」という細菌が原因となるケースが多いです。
犬や猫では、このブドウ球菌が皮膚に常に存在していますが、なんらかの理由で皮膚のバリア機能が低下すると、ブドウ球菌が異常に増殖して膿皮症を発症します。
特に、「クッシング症候群」や「甲状腺機能低下症」といった内分泌疾患、皮膚のバリア機能が未熟な子犬や子猫、「アトピー性皮膚炎」などのアレルギー性疾患を持っている犬や猫が膿皮症にかかりやすいとされています。
また、膿皮症は、感染部分が皮膚のどれほどの深さにあるかによって2つに分けられます。皮膚の浅い表面部分に起きる感染症を「表在性膿皮症」と呼び、皮膚のより深い層に影響を及ぼす深刻な状態を「深在性膿皮症」といいます。
症状
細菌が皮膚のどれほどの深さまで感染しているかによって症状は異なります。
<表在性膿皮症>
・かゆみ:感染した部位にかゆみが生じ、犬や猫がその部位を引っ掻いたり舐めたりすることで症状が悪化します。
・皮膚の変色:色素沈着により、皮膚が黒ずんでしまうことがあります。
・フケと脱毛:フケの増加や円形の脱毛がみられます。
・膿疱: 膿を含んだぶつぶつができ、これが破れるとかさぶたができたり、赤くなったりします。
<深在性膿皮症>
・痛み:感染が深いため、かゆみよりも痛みがみられます。
・結節と出血:皮膚に赤や紫の盛り上がった結節が現れ、出血や膿がみられることもあります。
・壊死:かさぶたが重なり合ったり、皮膚が広範囲に壊死して穴が開くことがあります。
・全身が悪化:発熱や活力の低下、食欲不振など全身の状態が悪化することがあります。
診断方法
診断は次のような方法で行います。
<症状の確認>
犬や猫の皮膚の状態やかゆみの有無、他の基礎疾患がないかどうかを詳しく診断します。
<皮膚検査>
皮膚の細菌を顕微鏡で観察し、細菌の種類や感染の程度を確認します。また、病原菌の特定のために培養検査を行います。
治療方法
治療は、主に次のような方法で行います。
<抗生剤の内服>
獣医師が指定する期間に従って、完全に服用する必要があります。
<シャンプー療法>
抗菌性のある薬用シャンプーを使用して、定期的にシャンプーを行います。これは皮膚を清潔に保ち、細菌の増殖を抑えるのに役立ちます。
<抗生剤の塗り薬>
抗生剤を含む塗り薬を使用し、直接感染部位に塗ります。
予防法やご家庭での注意点
膿皮症は、特に春から夏にかけての高温多湿の時期に発生しやすい病気です。この時期は、犬や猫の皮膚状態に特に注意が必要です。
また、定期的にブラッシングやシャンプーを行うことで皮膚に付着した汚れや余分なフケを取り除いたり、皮膚の乾燥を防ぐために保湿をしたりと皮膚のコンディションを維持し、膿皮症の発生を防ぎましょう。
まとめ
膿皮症は程度によって治療法が異なりますが、軽度の場合は薬用シャンプーで治ることがほとんどです。しかし、症状が重度の場合は治療期間が長くなり、犬や猫にとって負担が大きくなります。
また、膿皮症は繰り返し発症しやすい病気であるため、単なる皮膚のかゆみと軽視せず、初期の段階での適切な治療を行うことが重要です。早めに動物病院を受診することが推奨されます。
愛犬や愛猫がより快適に、健康的に生活できるように普段から愛犬や愛猫の様子をしっかりと観察しましょう。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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