コラム
COLUMN
ノミ・マダニ予防について|人間にも害を及ぼす寄生虫
2024.06.05犬・猫
ノミやマダニは主に春から秋の暖かい時期に活発になりますが、暖房を使用する室内では、冬場でも繁殖するため、年間を通して注意が必要です。さらに、屋外で遊ぶ犬や猫だけでなく、家の中で飼われている犬や猫にも飼い主様が外からノミやマダニを家に持ち込んでしまうことがあります。そのため、犬や猫をこれらの寄生虫から守るためには、四季を通じて警戒することが重要です。
今回はノミ・マダニ予防について、重要性や予防方法など詳しく解説していきます。
■目次
1.予防の重要性
2.ノミ・マダニがもたらす疾患について
3.予防方法
4.まとめ
予防の重要性
ノミやマダニは犬や猫だけでなく、人間にも害を及ぼす外部寄生虫です。
貧血や皮膚疾患を引き起こす可能性があり、さらに深刻な病気の原因となることもあります。
特に、マダニは犬や猫が外で遊んでいる時に狙っており、森や林はもちろん、街や公園、川沿いにも生息しています。草の多い場所はマダニへの警戒が必要です。
そのため、犬や猫だけでなく、私たち人間の健康を守るためにも、ノミ・マダニの予防は非常に重要です。
ノミ・マダニがもたらす疾患について
ノミとマダニは動物の皮膚に寄生し、血を吸うことで生きています。
その結果、貧血や吸血された部位の炎症、かゆみなどの症状が引き起こされることがあります。
ノミの寄生によって引き起こされる病気には、「ノミアレルギー性皮膚炎」というアレルギー性皮膚炎もあります。さらに、ノミを通じて「瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)症」や人間に発熱やリンパ節の腫れを引き起こす「猫ひっかき病」など健康に影響を及ぼすことがあります。
マダニによって引き起こされる病気は、次の通りです。
<重症熱性血小板減少症候群(SFTS)>
発熱や消化器症状を起こし、血液検査で血小板や白血球の減少が認められます。重症例では死亡する可能性が高まる危険な病気です。
<日本紅斑熱>
発熱とともに、米粒大から小豆大ほどの紅い斑点が全身にでますが、かゆみや痛みの症状がないことが特徴です。
<ダニ媒介性脳炎>
中枢神経系に影響するウイルス感染症で、軽症例からより重篤で生命を脅かすなど、広い範囲での症状を引き起こします。
<バベシア症>
重度の貧血を引き起こすこともあります。
このように、ノミやマダニによる感染症はさまざまで、犬や猫だけでなく人間への感染リスクも伴います。
予防方法
ノミやマダニから犬や猫を守るためには、体に寄生する虫を排除するため駆虫薬が最も有効です。駆虫薬には、犬や猫の背中に直接滴下するタイプのスポットオン剤、体の表面にスプレーするタイプ、飲ませるタイプの経口薬など、さまざまなものがあります。
これらの予防薬は、月に1回のペースで使用することが一般的に推奨され、正しい頻度で使用することが確実な予防のために重要です。
しかし、ノミを排除する際は、寄生したノミ自体を取り除くだけではなく、犬や猫の周囲の環境を清潔に保つ必要があります。もし犬や猫の生活空間にノミが存在する場合は、予防薬の効果を維持させるためにも、定期的に環境を清潔に保つために清掃をし、ノミの卵や幼虫を駆除し、ノミが繁殖しにくい環境を整えることが重要です。
また、ノミやマダニは森林エリアに限らず、人間が暮らす住宅地の公園や河川敷などにも生息しています。そのため、犬や猫をこれらの場所へ連れて行く場合は、事前に予防薬の使用が推奨されます。
まとめ
散歩をする犬と猫だけでなく、外出する私たち人間にとってもノミやマダニは注意が必要な寄生虫です。犬や猫だけでなく私たち自身を守るためにも、予防措置をしっかりと取ることが重要です。
犬や猫にとって適切なノミ・マダニの予防薬の選択や予防のタイミングなどについて気になることがあれば動物病院で相談しましょう。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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