コラム
COLUMN
犬や猫の膀胱炎について|再発しやすい病気
2024.01.09犬・猫
犬や猫とって、膀胱炎は非常に身近な病気の一つです。尿のトラブルは繰り返し発生しやすく、長期にわたって管理していく必要があります。しかし、残念ながら治療後に適切なケアを受けているペットたちは、あまり多くありません。
今回は、犬や猫の膀胱炎について、原因や症状などの一般的な知識から、発症後の管理の仕方などについても解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
膀胱炎とは、何らかの理由により膀胱に炎症が起こった状態を指します。犬の膀胱炎の原因としては、細菌感染と尿路結石が代表的です。特に尿道の短いメスでは、オスよりも細菌感染による膀胱炎(細菌性膀胱炎)が起こりやすい傾向にあります。
一方猫の場合、上記のような原因に加えて、原因不明の膀胱炎(特発性膀胱炎)が起こりやすいことが知られています。特発性膀胱炎はストレスなどに関連するといわれていますが、詳しい原因はわかっていません。
症状
頻尿、血尿、不適切な排尿、排尿時の痛みや不快感などが主な症状です。ペットがトイレに行く回数が増えたり、排尿時に苦痛を訴えたりするような行動を取る場合は、膀胱炎が疑われます。
猫の場合、膀胱の違和感が原因でお腹を過剰に舐めてしまい、お腹の毛が薄くなることもあります。
診断方法
膀胱炎が疑われる場合、尿検査にて細菌や炎症性細胞の有無、血尿が出ているかなどを確認します。膀胱炎は一度の検査で診断がつかないこともあるため、疑わしい場合は複数回の検査が必要です。
またレントゲン検査や腹部超音波検査を行うこともあります。
治療方法
細菌性膀胱炎であれば、抗生物質による治療が一般的です。尿路結石の場合、食事療法により治療可能なこともありますが、結石の種類や大きさによっては外科手術で摘出する必要があるかもしれません。
猫の特発性膀胱炎の場合、ストレスの原因を取り除くことがもっとも有効な治療法ですが、食事療法を併用することもあります。
予防法やご家庭での注意点
膀胱炎の予防には、ペットの飲水量を増やし、排尿を我慢させないような工夫が重要です。ペットがアクセスできる場所には、常に清潔な水を用意し、トイレは清潔に保ちましょう。
膀胱炎が完治した後も、油断は禁物です。膀胱炎は再発しやすいため、病院で定期的に検査を受け、早期発見に努めましょう。
また経過観察を行うことで、食事療法の効果も最大限に発揮できます。最適な食事内容は、年齢や生活習慣の変化により変化するため、定期的に見直すようにしましょう。
まとめ
繰り返しやすい膀胱炎は完治した後も定期的な経過観察が重要です。
また、当院に来院される方の中には、ほかで膀胱炎と指摘を受け食事改善を始めたが、その後の経過観察を行わず最初に始めた食事療法のまま進めている患者さんが多く見られます。食事療法は定期的にチェックを行うことで、食事改善の効果を最大限にすることができます。
定期的にチェックを受けることをおすすめするとともに、当院では細かなチェックを行っています。少しでも気になることがあればいつでもご相談下さい。
さらに、犬や猫の膀胱炎は飲み水やトイレを清潔に保ち、無用なストレスを与えないことも重要です。愛するペットの健康を守るために、日頃から適切なケアを心がけましょう。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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