コラム
COLUMN
犬や猫の避妊・去勢の重要性について
2023.10.04犬・猫
愛犬や愛猫が生後6ヵ月になると、避妊・去勢手術を受けることができます。中には健康なのに手術したほうがいいの?と不安に思う飼い主様もいるかと思います。
しかし、避妊・去勢手術は、早期に行うことで様々なメリットがあります。
そこで今回は、犬や猫の避妊・去勢の重要性について解説します。
犬や猫の避妊・去勢手術とは
犬や猫の避妊・去勢手術は、不妊手術とも呼ばれ、犬や猫の生殖能力をなくすために行う手術のことをいいます。
避妊手術では卵巣や子宮を摘出し、去勢手術では精巣を摘出することで生殖ができないようにします。
手術の流れは以下の通りです。
・避妊手術
全身の健康診断を行い、麻酔可能かを判断します。
その後、全身麻酔を行い、開腹手術で卵巣と子宮、もしくは卵巣のみを摘出します。
所要時間は、30分~1時間程度です。
・去勢手術
全身の健康診断を行い、麻酔可能かを判断します。その後、全身麻酔を行い、陰嚢付近を切開し、精巣を摘出します。
所要時間は30~45分程度です。
犬や猫の避妊・去勢手術を行う理由
犬や猫の避妊・去勢手術は望まない妊娠を避けるためのものではありますが、他にも様々なメリットがあります。
避妊手術を行うと、発情出血(生理)や発情がなくなるため、発情に伴うトラブルを防ぐことができます。
去勢手術では、マーキング行動やマウンティング行為の減少や、発情によるストレスをなくすことができます。
また、どちらも性ホルモンに関連した病気を防ぐことができます。
避妊・去勢手術を行った際に予防できる病気について
避妊・去勢手術を行うことで性ホルモンに関連した病気の予防が可能です。具体的には以下のような病気を予防できます。
メスでなりやすい病気
・子宮蓄膿症
子宮内に感染が起こり、膿が溜まってしまう病気です。全身に細菌が巡って炎症が波及し、命を落とす場合もあります。
・乳腺腫瘍
犬では半分が悪性、猫ではほとんどが悪性です。悪性の場合、全身へ転移して亡くなることもあります。
オスでなりやすい病気
・精巣腫瘍
特に潜在精巣の子でなりやすいです。猫ではまれで、犬では良性の場合が多いです。
・会陰ヘルニア
肛門の周囲(会陰部)の筋肉がゆるく薄くなり、隙間から脂肪や腸管、膀胱、前立腺などが飛び出てしまう病気です。排尿障害や臓器の壊死がおこると、命に関わる場合があります。
避妊・去勢手術は犬も猫も生後6ヶ月から行うことができますが、特にメスの場合、犬では初回発情を迎える前に避妊手術を行うことで、ほぼ100%(95.5%)、猫では6ヶ月齢以前に避妊手術を行うことで91%程度、7~12ヶ月で避妊手術を行うことで86%程度、乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。
避妊・去勢手術を行うメリット・デメリット
避妊・去勢は、望まない妊娠を防ぐことに加えて、性ホルモン関連の病気の予防や、発情に関するストレスや問題行動をなくし、ペットと飼い主様の生活の質をあげることができます。
反対に、手術のデメリットも存在し、全身麻酔や手術のリスクや、術後に太りやすくなることが挙げられます。
しかし、手術前の検査を行うことで麻酔のリスクを避けたり、食事内容を見直したり運動量を増やしたりすることで体重管理をすることが可能です。
犬や猫の避妊・去勢手術は、全身麻酔や手術のリスクがあるものの、メリットが多い手術ですので愛犬や愛猫の健康を守っていくためにも検討していくことをおすすめします。
ただし、手術時期が遅くなると病気予防の効果が薄れたり、加齢に伴い全身麻酔のリスクが高まることがあるため、早めに行うと良いでしょう。
何かお困りの際は、お気軽に当院までご相談ください。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。
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